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活動内容

【年度】2019年度

E&Eフォーラム現地研修Ⅱ

実施日令和2年1月28日(火)・29日(水)
見学場所中部電力(株)浜岡原子力発電所
日本原子力研究開発機構 東濃地科学センター 瑞浪超深地層研究所、同土岐地球年代学研究所
テーマ「原子力発電と高レベル放射性廃棄物処分の安全を考える」

実施概要
 ・エネルギー基本計画において、低炭素で重要なベースロード電源として位置づけされる原子力発電の安全性向上に取り組む現場と発電後の使用済みのウラン燃料を再処理した際に発生する高レベル放射性廃棄物の地層処分に関わる研究現場を視察した。

【浜岡原子力発電所】
<視察概要>

 本発電所では、福島第一原子力発電所のような事故を二度と起こさないという固い決意のもと、原子力規制委員会が策定した新規制基準を踏まえて、安全性向上対策を進めている。この視察では、海抜22mの防波壁の設置、原子炉の冷却に必要な電源と水源の多様化(例:高台にガスタービン発電機、地下水槽などを設置)など、設備の強化を確認するとともに、設備を有効に機能させるための実務訓練など、現場対応力の強化について現場で見聞した。
 また、過去の失敗やトラブルの事例、再発防止策などを展示した研修施設「失敗を学ぶ回廊」を視察した。「私たちは二度と同じ失敗を繰り返さないため、過去の事例を風化させてはならない。これらの事故やトラブルから得た教訓を心に刻み、安全をたゆみなく追求していく」との熱意とエネルギーの安定供給に対する思いを感じとった。

<視察後の主な感想>
 ・安全を大切にしている。現場から安全に取り組む姿勢が伺えた。実際に見ると、ニュースや新聞とは違い、その規模感やその設備の持つ役割が理解できる。やはり実際に見ることが大切だと感じた。
 ・失敗を次に活かす姿勢は「安心感」に繋がる。失敗に学ぶ回廊には感動した。
 ・自然の脅威は計り知れない。この安全対策で安心せず、これからも安全性を追求してほしい。

【瑞浪超深地層研究所・土岐地球年代学研究所】
<視察概要>

 東濃地科学センターでは、原子力発電により不可避的に発生する高レベル放射性廃棄物の安全な地層処分に資するため、岩盤や地下水を調査する技術や解析する手法の確立、深い地下で用いられる工学技術の基盤の整備を目指した研究が進められている。
 瑞浪超深地層研究所では、地下500mまで掘り下げた坑道にて、岩盤の強さ、地下水の流れ、水質などの調査・研究を実施し、土岐地球年代学研究所では地震や火山、隆起や浸食といった地殻変動や気候変動に関する研究を実施している。
 この視察では、実際に地下坑道での岩盤強度や地下水などの研究に使用した地上設備、炭素14を用いたペレトロン年代測定装置での年代測定方法などを見聞し、これまでの研究成果、断層活動や浸食速度、地下水年代などの測定技術が確立されていることが理解できた。
 研究者は、地層処分の概念は、高レベル放射性廃棄物から十分な距離を取り、その影響がなくなるまで時間を稼ぐことで、処分というよりは「そっと置いておく」ことである。年代測定技術を高度化することで、国内のどの地点で、その距離と時間を確保できるか否かを示すことができる。「過去」を調査することは「未来を知る鍵」であると説明された。

<研究者との意見交換>
 ・処分地の選定から処分開始まで、文献調査、概要調査、精密調査など約20年も調査に要するが、短縮は図れないか。 → 文献、概要の調査は地点によって短縮は可能であるが、精密調査はしっかりと時間をかけて実施するべきだと考える。これをしっかりしないと処分地に適しているかどうかの判断を誤る可能性がある。
 ・なぜ、地層処分に対する理解が進まないのか。候補地が出て来ないのか。 → 地層処分の事業には、「地下が目に見えない」「数万年という超長期の時間軸でリスクを考える必要がある」「我が家の庭にはお断り」などの不安や性質があるのではないか。仮に科学が安全だと結論付けても、例えば「絶対に事故が起こらないことを証明せよ」との要求に応えることは困難である。私たちは、「昨日までの安全は明日からの安全を保障するものではない」との思いを持って研究を進めている。これからも地域社会に理解が得られるよう高度な研究を継続し、その成果を地道に伝えていきたい。
 ・処分の候補地は今現在ないのか。最適地はないのか。 → 現段階ではない。候補地選定に向けては国が科学的特性マップを公表するなど国民に(候補地を早期に選定するための)課題を訴えている。地層処分に最適地の考え方はない。その候補地での処分が可能か否かである。

<E&Eフォーラム 講座Ⅲ・Ⅳ>

実施日:令和元年10月23日(水)
会 場:アスト津
講 師:竹内純子氏(NPO法人国際環境経済研究所 理事・主席研究員)
演 題:「エネルギーと経済を考える」「再生可能エネルギーの未来を考える」


【講演要旨】
「エネルギーと経済を考える」
・エネルギー価格(電気料金等)は経済活動に与える影響が大きい。経済的な視点でエネルギー問題を考えることも重要である。
・電力の安定供給には電気事業者の事業の安定化が必要。但し、電気事業者の「儲け過ぎ」を回避する仕組みも忘れてはならない。
・電気料金の約1/3はLNGや石炭などを海外から調達している燃料費が占めており、変動(±)が激しい燃料費単価をタイムリーに電気料金に反映させるため、平成8年から燃料費調整制度を導入している。
・平成23年以降の原子力発電の停止に伴う火力発電所の焚き増しなどにより、国内全体で平成28年度末までに累計15.5兆円の燃料コストが増加し、その国富が海外に流出することで、経済的に影響が大きくなっている。
・原子力発電は現状の試算で最も経済的な発電方法ではあるが、稼働率や金利などによってその単価は変動する。原子力によって安価な電気を得るには、原子力事業のコスト構造や核燃料サイクル政策などへの理解を得ること、安全対策の進歩や福島の復興など社会からの信頼を得ることが必要である。

「再生可能エネルギーの未来を考える」
・再生可能エネルギーは、純国産のエネルギーでエネルギー自給率の向上に貢献するほか、発電時にCO2を排出しない、環境関連産業の育成や雇用の創出が期待できるなど強みがあるが、稼働率が低い(太陽光12%、陸上風力20%)、不安定である、コストが高いなどの弱みもある。弱みもきちんと理解したうえで導入していくことが大切である。
・世界では、再生可能エネルギーの価格は下がっている。まずは、国内で、再生可能エネルギーのコスト低減を進めることが必要である。
・再生可能エネルギーのコストを考えるときには、発電所を建設するコスト以外にその発電した電気を上手く使いこなすための送電や蓄電のコストも考えておく必要がある。
・太陽光パネルの大量廃棄が必要な時代をこれから迎える。適正な廃棄や再投資まで責任を持つ健全な再エネ事業者を育成していくことも必要である。

【グループディスカッション】
・まず、燃料費が全体の1/3を占めるなどの電気料金のしくみを理解する良い機会となった。これまでは、電気料金に含まれる再エネ発電賦課金や燃料費調整額の認識がなく電気料金が上がった、下がったとの感覚しかなかったのでこれからは周囲にもそのしくみを共有していきたい。再エネ発電賦課金が増大していること、制度の見直しが必要であると感じた。
・太陽光パネルが土砂災害で崩れた斜面に設置され、危険な状態になっているなど安全に維持していくことの難しさも露呈してきている。また、山を切り崩して設置するなど、自然環境保全の観点からも疑問の声があがっていることなど、再生可能エネルギーの導入には課題もあると認識できた。

<E&Eフォーラム現地研修Ⅰ>

実施日:令和元年8月23日(金)
見学場所:(株)JERA川越火力発電所
     中部電力㈱中央給電指令所
     同西名古屋変電所
テーマ:エネルギーの安定供給を考える



実施概要
 ・上記をテーマに、電気を作る「発電所」、発電する電気の量をコントロールする「指令所」、発電した電気を家庭や工場などに送り届ける「送電線」「変電所」といった「コンセントの向こう側」を視察した。

【川越火力発電所】
 ・本年4月、川越火力発電所は東京電力フュエル&パワー㈱と中部電力㈱の共同出資で設立された㈱JERAに事業承継された。㈱JERAは、世界でも最大級の発電事業会社となり、国際競争力のある電力、ガスの安定した供給(国内の約1/3の電力量を賄っている)などを目的に、燃料の調達から発電までのバリューチェーン全体の一体的かつ最適なマネジメントによる効率的な事業全体の運営を目指している。
 ・この発電所は、480万kWの発電設備(JERAの約9%)を有する国内でも最大級の発電所であると同時にLNG設備(LNGタンク6基、受入桟橋、気化器など)や太陽光発電設備(7.5MW)も有しており、この地方における重要なエネルギーインフラである。さらに、LNGは伊勢湾の海底を横断するパイプラインにより、対岸の知多LNG基地との融通を進めており、LNG供給の信頼性の向上を目指している。

【中央給電指令所】
 ・電力の安定供給には、電気の使用量と発電量が等しくなるように発電量をコントロールし、周波数を一定に保つことが必要である。電気の使用量と発電所で作られる電気の発電量のバランスが崩れると、周波数が乱れ、広範囲に亘る停電やお客様の電気設備の故障に繋がる恐れがある。
 ・ここでは、翌日の天候や気温、過去のデータ、社会情勢(大規模なイベントや工場の休業など)など、様々なデータを基に、翌日の需要量を算定し、発電所への稼働・停止などの指令を実施して発電量をコントロールしている。近況は、大量導入された太陽光発電の急な天候による変動にも対応できるよう火力発電所や水力発電所とのバックアップのための連携も重要となっている。

【西名古屋変電所】
 ・川越火力発電所で発電された電気は、275kVに昇圧され、14.4㎞の地下洞道および地上に鉄塔で繋いで敷設された複数の送電線で西名古屋変電所に送られる。高い電圧で送電する理由は、大量の電気を遠くまで効率的に送るためであり、その送電線や変電設備は複数の系統が敷設されるなど、万一の故障などに備えて切り替えができる対応が取られている。
 ・地下洞道で送電線を敷設するメリットは「落雷、台風などの災害時に有利である」「景観を損なわない」などが挙げられるが、「建設コストがかかる」ことから効率面とのバランスも配慮しなければならない。

【グループディスカッション】
 ・普段何気なく使っている電気であるが、そのコンセントの向こう側の大勢の方の関わり、これまで培われてきた技術力などを理解でき、その苦労と気概を感じた貴重な機会であった。
 ・電気の需要量の予測値と実績値の誤差がほぼ無いことに驚愕した。停電やトラブルをの未然防止に向けた日々努力や訓練が積み重ねられているのだろうと感じた。
 ・停電が社会的に影響は大きいことから、各現場で、これまで培ってきた技術の継承、教育・訓練がしっりとなされていると感じた。さらに事故未然防止などに向け、AIなどの活用についても考えてみたい。

<開講式・講座Ⅰ>

開催日:令和元年6月27日(木)
会場 :アスト津
講師 :竹内 純子氏(NPO法人国際環境経済研究所 理事・主席研究員)
演題 :「エネルギー政策の基本を学ぼう」

 当会では、県内の経済・労働・女性団体の会員らが年間で講座や現地研修を通じてエネルギーや環境問題を考える「E&Eフォーラム」を開講した。このフォーラムは今期で四期目を迎え、21名が受講する。
 E&EはEnergy(=エネルギー)とEnvironment(=環境)の頭文字から命名している。
 開講式では、当会の奈須庄平理事・事務総長が「このフォーラムではエネルギーや環境問題を学ぶ。まず、これらを自分自身の問題として捉え、学んだことは周囲に伝えるよう取り組んで欲しい。また、仕事も立場も違う異業種の仲間と議論を交わし、交流も深めて欲しい。」と挨拶した。
 第一回講座では、このフォーラムの第一期から講師を務めて頂いている竹内純子氏が「エネルギーや環境のことをこれだけ丁寧に1年間をかけて取り組んでいる例はない。エネルギーや環境のことを自分自身の言葉で発信できるように取り組んで欲しい。」と激励し、「エネルギー政策の基本を学ぼう」と題した講義にて、戦後の復興を支えた水力や石油、オイルショックを経験して取り組んできたエネルギーの多様化などの日本のエネルギー政策の変遷やエネルギーの安定供給における現状や課題、温室効果ガス削減に向けた取り組みなどを説明した。
 その講義では、「年金が受給されると1ヶ月分ずつ電気料金を支払っている方々が存在する。電気料金の高騰は低所得世帯にこそ痛手になる。電気は贅沢品ではなく生活必需品である。まずは、自分の家庭の電気料金の検針票を見ること。再生可能エネルギー普及に係る費用や海外から輸入される石油やLNGなどの価格がどのように電気料金に反映されているかがわかる。」とし、エネルギーを経済的な視点で考える必要性などを指摘した。
 そのうえで、エネルギー政策の基本はEconomy(=経済性)、EnergySecurity(=安定供給・安全保障)、Environment(=環境)の3つのEのバランスを超長期の時間で考える必要があるとした。
 講義後はグループディスカッションを実施し、受講者からは「これまではエネルギーについて当事者としての意識はなかった。ホルムズ海峡でタンカーが攻撃されても意識は低かった。このフォーラムでは、これらのことを身近な問題として考えるきっかけとして取り組んでいきたい。」などの意見が出された。
 次回は8月に「エネルギーの安定供給を考える」をテーマに火力発電所や変電所などを視察する現地研修を予定している。

講座の模様
グループディスカッション

伊勢小俣町商工会女性部

開催日:令和元年11月6日(水)
会 場:伊勢小俣町商工会
出席者:14名
テーマ:「地球温暖化問題の現状とこれから~私たちの暮らしの中で必要な対策とは~」
講師 :多森 成子氏(気象予報士)

三重県新生活運動推進協議会

開催日:令和元年10月16日(水)
会場 :鈴鹿市男女共同参画センター(ジェフリーすずか)
出席者:21名
テーマ:「気象キャスターが見た異常気象と地球温暖化」~身近な生活への影響は?~
講師 :岡安 里美氏(気象予報士)

朝明経済クラブ

開催日:令和元年6月26日(水)
会場 :四日市シティホテル
出席者:19名
テーマ:「地球温暖化と異常気象~2018年の災害を振り返る~」
講師 :千種 ゆり子氏(気象予報士・防災士)

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