

| 開催日: | 令和7年9月4日(木)~5日(金) |
| 視察先: | 日本原燃株式会社 原子燃料サイクル施設 ウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物埋設センター、 高レベル放射性貯蔵管理センター・使用済燃料受入貯蔵施設、 再処理工場、MOX燃料工場 |
国内の原子力発電所の使用済燃料を再利用する「原子燃料サイクル」について見識を深めていただくため、青森県の下北半島に位置する六ケ所村にある日本原燃株式会社原子燃料サイクル施設の視察を行いました。
1968年代末より六ケ所村を中心とする一帯に石油化学コンビナートや製鉄所を主体とする大規模臨海工業地帯を整備することを目的とした世界最大の開発と言われた「むつ小川原開発計画」が「新全国総合開発計画」に盛り込まれました。しかし、第一次、第二次石油オイルショックにより、石油関連施設の進出計画は頓挫しました。1979年 むつ小川原開発への国家石油備蓄基地の建設が決定されましたが、石油備蓄基地以外の企業進出がなく、むつ小川原開発計画は変更・修正を余儀なくされました。
1984年、電気事業連合会が青森県と六ケ所村に原子燃料サイクル施設(濃縮、埋設、再処理)の立地を申し入れ、1985年に「原子燃料サイクル施設の立地への協力に関する基本協定書」が締結されました。
その後は、1992年に濃縮ウラン工場・低レベル放射性廃棄物埋設センターが操業を開始し、1993年に再処理工場着工、1995年には高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターが操業を開始し、2010年にはMOX燃料工場が着工し、現在に至っています。
六ケ所原燃PRセンターで、施設の概要説明を受けた後、館内で使用済燃料の再処理の工程や低レベル放射性廃棄物の保管方法やその現状について模型展示物により詳細な説明を受け施設全体について理解したうえで、それぞれの施設を視察しました。
再処理施設に入構する際は、厳重なセキュリティー管理と放射線管理がされており、安全対策が徹底されていました。その後、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターでは、海外で使用済み燃料を再処理した際に発生し、返還されたガラス固化体(キャニスター)1,830本の保管状況等を実際に見ることができました。低レベル放射性埋廃棄物については、広大な敷地に埋設されている状況を車中から視察し、ウラン濃縮工場と再処理工場については外観を見ながら施設の設備内容について説明を受けました。
再処理施設では、地震や津波など大規模な自然災害に対する様々な対策が取られておりました。新規制基準に対する取組として、竜巻による飛来物から重要施設を防護する設備の設置や重大事故等対処のスキル向上のための訓練が繰り返し実施されており、ハード面とソフト面とも安全対策に向けた様々な取り組みが実施されていることを十分理解することができました。また、再処理工場は、2026年度中の竣工、MOX燃料工場(混合酸化物燃料)は、2027年度中の竣工を目指すとのことでした。
エネルギー資源に乏しい我が国においては第7次エネルギー基本計画でも示されましたが、エネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い原子力などを最大限活用していくことが必要不可欠です。本視察では、原子力の有効活用のためには原子力発電所で使い終えた燃料(使用済燃料)からプルトニウムを取り出し、ウランと混ぜ合わせて新しい燃料(MOX燃料)としてリサイクルする原子燃料サイクルの確立が必要であると感じました。
また、高レベル放射性廃棄物の地層処分については、現在、処分地選定に向けた国民への理解活動が進められていますが、我が国のエネルギー安全保障を考えたとき地層処分についても、国民一人一人が「自分ごと」として考えることが必要であると思います。
この原子燃料サイクル事業については、六ケ所村を始めとする地域の皆様の原子力政策に対するご理解とご協力が不可欠であります。今後、事業者と地域の皆様が相互に良好な関係のもと再処理事業が安全第一で計画どおり進んでいくことを願うところです。
六ケ所原燃PRセンターにて
再処理工程について説明を受ける
再処理工程について説明を受ける
